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卵管異常(狭窄・閉塞)とは

「卵管が詰まっていると言われました」「卵管の通りが悪いと言われました」「卵管が細いと言われました」とご相談いただくことがあります。

卵管は、卵子と精子が出会い、受精卵が子宮へ運ばれるための大切な通り道です。卵管が狭くなっている「卵管狭窄」や、卵管が詰まっている「卵管閉塞」があると、排卵や精子の状態に大きな問題がなくても妊娠しにくくなることがあります。

卵管の異常は自覚症状がほとんどなく、子宮卵管造影検査を受けて初めて分かることも少なくありません。当院では、検査結果やこれまでの治療経過を確認したうえで、FT(卵管鏡下卵管形成術)が適しているかどうかを判断し、妊娠を目指すための治療方針をご提案しています。

卵管の異常とは

卵管の異常とは、卵管の通り道が狭くなっていたり、詰まっていたりする状態を指します。子宮卵管造影検査では、「卵管が通りにくい」「卵管が細い」「卵管が詰まっている」「造影剤が先まで流れにくい」と説明されることがあります。

医学的には、卵管が狭くなっている状態を「卵管狭窄」、卵管が詰まっている状態を「卵管閉塞」と呼びます。どちらも卵子と精子が出会いにくくなる原因となり、不妊の原因になることがあります。

実際には、完全に卵管が閉塞している場合だけでなく、卵管が狭くなっている卵管狭窄でFT(卵管鏡下卵管形成術)を行うことも多くあります。

卵管の構造と役割

子宮と卵管の構造

卵管は子宮とつながっており、子宮側から間質部、峡部、膨大部、采部に分けられます。子宮に近い部分はとても細く、炎症などの影響を受けると卵管の通りが悪くなることがあります。

卵管の先端にある采部は卵管采とも呼ばれ、排卵された卵子を卵管の中へ取り込む役割があります。この働きは「ピックアップ」と呼ばれます。

卵管には主に5つの役割があります。

  1. 排卵された卵子を取り込むこと
  2. 精子を受け入れること
  3. 卵子と精子が出会い、受精する場所になること
  4. 受精卵を育てること
  5. 受精卵を子宮へ運ぶこと

卵管の通りが悪くなると、卵子と精子が出会いにくくなり、妊娠しにくくなることがあります。

卵管狭窄とは

卵管狭窄とは、卵管の通り道が完全には塞がっていないものの、狭くなっている状態です。

子宮卵管造影検査では、造影剤が流れるものの流れ方が悪かったり、途中で細く見えたり、通過に時間がかかったりすることで卵管狭窄が疑われます。

卵管狭窄があると、卵子と精子が出会いにくくなるだけでなく、受精卵が子宮へ移動しにくくなる可能性があります。

当院では、一定期間妊娠に至らない方に子宮卵管造影検査を行っています。卵管狭窄が見つかった場合には、卵管の通りを改善する治療としてFT(卵管鏡下卵管形成術)をおすすめしています。

卵管閉塞とは

卵管閉塞とは、卵管の通り道が詰まっている状態です。

患者さんには「卵管が詰まっている」「卵管が通っていない」と説明されることもあります。卵管閉塞があると、卵子と精子が出会うことが難しくなります。

片側の卵管閉塞であれば、もう片方の卵管が通っている場合に自然妊娠の可能性があります。一方で、両側の卵管が閉塞している場合には、自然妊娠は難しくなります。

卵管閉塞と診断された場合でも、多くはFT(卵管鏡下卵管形成術)の対象となります。FTによって卵管の通りを改善し、自然妊娠や人工授精による妊娠を目指します。

ただし、卵管の先端部分の閉塞や卵管水腫、強い癒着が疑われる場合など、一部ではFTの適応とならないことがあります。子宮卵管造影検査の結果を確認しながら、FTが適しているかどうかをご説明します。

卵管の異常があっても妊娠できますか?

卵管狭窄や卵管閉塞があっても、妊娠を目指す方法はあります。

片側の卵管が通っている場合は、自然妊娠の可能性があります。また、卵管狭窄や卵管閉塞の部位によっては、FTで卵管の通りを改善し、タイミング療法や人工授精で妊娠を目指すことができます。

一方で、卵管の先端部分の閉塞、卵管水腫、強い癒着が疑われる場合には、FTの適応とならないことがあります。そのような場合には、妊娠を目指す方法として体外受精をお勧めします。

大切なのは、「卵管が詰まっていると言われたから妊娠できない」と決めつけるのではなく、どの部分がどの程度通りにくいのかを確認し、状況に合った治療方法を選ぶことです。

卵管の異常を調べる検査

子宮卵管造影検査

卵管狭窄や卵管閉塞を調べる代表的な検査が、子宮卵管造影検査です。子宮内に造影剤を注入し、レントゲンで造影剤の流れを確認することで、卵管が通っているか、狭くなっていないか、詰まっていないかを調べます。

当院では、内診室とレントゲン室が隣接しており、造影剤を自動注入ポンプでゆっくり注入するなど、検査時の痛みをできるだけ軽減できるよう工夫しています。

「卵管造影検査は痛いですか?」というご質問をよくいただきます。当院では検査時の痛みについてアンケート調査を行い、学会でも発表しています。

卵管通水検査

卵管通水検査は、生理食塩水などを子宮内に注入し、卵管の通りを確認する検査です。子宮卵管造影検査と比べると分かる情報は限られますが、造影剤を使用できない方や検査への不安が強い方に行うことがあります。

卵管の異常の原因

卵管狭窄や卵管閉塞の原因は、はっきり分からないことも少なくありません。患者さんご本人に思い当たる症状や感染の記憶がなく、子宮卵管造影検査を受けて初めて分かることもあります。

原因が推測できる場合には、過去の炎症や感染、癒着などが関係していることがあります。卵管の内側や周囲に炎症が起こることで、卵管が狭くなったり、詰まったりすることがあります。

クラミジア感染症

クラミジア感染症は、卵管の通りに影響することがあります。感染しても症状が出ないことが多く、気づかないうちに子宮から卵管へ炎症が広がることがあります。

子宮内膜症

子宮内膜症では、骨盤内で炎症や癒着が起こり、卵管の動きが悪くなったり、卵管の通りが悪くなったりすることがあります。

骨盤腹膜炎・腹部手術後の癒着

骨盤腹膜炎や虫垂炎、卵巣嚢腫、子宮筋腫などの手術後に、卵管周囲の癒着が起こることがあります。

卵管自体が完全に詰まっていなくても、周囲と癒着して自由に動けない場合、卵子を取り込む働きが低下し、妊娠しにくくなることがあります。

卵管の異常の治療方法

卵管狭窄や卵管閉塞が見つかった場合には、卵管の状態や年齢、妊娠希望期間などを考慮しながら治療方針を決定します。

卵管の異常そのものに対する治療として行われるのが、FT(卵管鏡下卵管形成術)です。

FT(卵管鏡下卵管形成術)

FTは、卵管の狭くなっている部分や詰まっている部分を広げる日帰り手術です。

特に子宮に近い部分の卵管狭窄や卵管閉塞では、FTによって卵管の通りを改善できる可能性があります。

FTによって卵管の通りが改善した後は、タイミング療法や人工授精などを行いながら妊娠を目指します。

一方で、卵管の先端部分の閉塞や卵管水腫、強い癒着が疑われる場合には、FTの適応とならないことがあります。

そのような場合には、妊娠を目指す方法として体外受精をお勧めします。

FT(卵管鏡下卵管形成術)について

FT(卵管鏡下卵管形成術)は、細いカテーテルを使って、卵管の狭くなっている部分や詰まっている部分を広げる日帰り手術です。

子宮側に近い部分の卵管狭窄や卵管閉塞では、FTによって卵管の通りを改善できる可能性があります。FT後は、自然妊娠や人工授精による妊娠を目指します。

一方で、卵管の先端部分の閉塞、卵管水腫、強い癒着が疑われる場合には、FTの適応とならないことがあります。

当院では、子宮卵管造影検査の結果を確認したうえで、FTが適しているかどうかを診察でご相談します。他院で卵管狭窄や卵管閉塞を指摘された方も、検査結果をお持ちいただければ、FTのみ当院で行うことが可能です。

当院のFT(卵管鏡下卵管形成術)実施件数

当院では、FT(卵管鏡下卵管形成術)を数多く実施しています。
2024年は339件、2025年は349件、2026年は6月までに216件のFTを実施しました。

当院のFT(卵管鏡下卵管形成術)実施件数 0 100 200 300 400 339件 349件 216件 2024年 2025年 2026年 ※2026年は6月まで
2024年 339件
2025年 349件
2026年 216件(6月まで)

2026年5月からは午後の時間帯にもFTを実施できる体制を整え、より多くの患者さんに卵管鏡下卵管形成術(FT)をご案内できるよう努めています。

体外受精をお勧めする場合

体外受精は、卵管を使わずに妊娠を目指す治療です。卵子を体外に取り出し、精子と受精させ、育った胚を子宮に戻します。

体外受精は卵管の異常そのものを治療する方法ではありませんが、卵管を使わずに妊娠を目指せるため、卵管の状態によっては有効な選択肢となります。

卵管の先端部分の閉塞や卵管水腫、強い癒着が疑われる場合には、FTの適応とならないことがあり、そのような場合には妊娠を目指す方法として体外受精をお勧めします。

また、年齢や卵巣機能、これまでの治療経過によっては、早めに体外受精を選択した方が妊娠への近道となることもあります。

FTと体外受精は、どちらが良い・悪いというものではなく、妊娠へのアプローチが異なります。当院では、患者さんの状況とご希望を踏まえて、治療方針を一緒に考えます。

よくある質問

卵管が詰まっていると言われました。妊娠できますか?

片側の卵管が通っている場合は、自然妊娠の可能性があります。両側の卵管が閉塞している場合は自然妊娠が難しくなりますが、多くはFT(卵管鏡下卵管形成術)の対象となります。FTで卵管の通りを改善し、自然妊娠や人工授精による妊娠を目指します。

卵管が細い・通りが悪いと言われました。FTの対象になりますか?

卵管狭窄が疑われる場合、FTの対象となることがあります。特に子宮に近い部分の卵管狭窄では、FTによって卵管の通りを改善できる可能性があります。

卵管狭窄と卵管閉塞の違いは何ですか?

卵管狭窄は卵管が狭くなっている状態、卵管閉塞は卵管が詰まっている状態です。どちらも卵子と精子が出会いにくくなる原因となります。

片方の卵管だけが詰まっていても治療は必要ですか?

片方の卵管が通っていれば妊娠の可能性はあります。ただし、一定期間妊娠に至らない場合には、FT(卵管鏡下卵管形成術)をおすすめすることがあります。

卵管の異常は自然に治りますか?

卵管狭窄や卵管閉塞が自然に改善することは多くありません。ただし、子宮卵管造影検査で造影剤が流れることで、一時的に通りが改善することがあります。検査結果をもとに治療方針を相談します。

卵管の異常がある場合、すぐに体外受精が必要ですか?

必ずしもすぐに体外受精が必要とは限りません。卵管の状態によっては、FTで卵管の通りを改善し、タイミング療法や人工授精で妊娠を目指すことができます。一方で、卵管の先端部分の閉塞や卵管水腫、強い癒着が疑われる場合、年齢や卵巣機能を考慮して早めの妊娠を目指した方がよい場合には、体外受精をお勧めします。

他院で卵管狭窄・卵管閉塞と言われました。FTだけ受けられますか?

他院で子宮卵管造影検査を受け、卵管狭窄や卵管閉塞を指摘された方でも、FTのみ当院で受けていただくことが可能です。検査結果をお持ちいただければ、FTの適応について診察でご相談します。

監修医師

本ページは、プリュームレディースクリニック院長 松本由紀子が監修しています。

松本由紀子
日本専門医機構認定 産婦人科専門医
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医

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