ピルについて
ピルとは、女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)と同じ作用を有する2種類の合成ステロイドホルモンを含んだ錠剤です。2種類のホルモンを低用量で含んでいるため、低用量ピルと呼ばれています。
低用量ピルには保険適用されているピル(LEP)とされていないピル(OC)があります。
月経困難症、子宮内膜症の治療を目的として服用する場合には保険が適用されます。一方で妊娠は病気でないと判断されるため妊娠を避ける避妊目的とする場合の処方は保険適用外(自費)のピル(OC)が処方されます。
LEP(保険適用のピル):
月経困難症や子宮内膜症の治療や症状を軽くするために用いられる低用量ピルをLEP(low dose estrogen-progestin)と呼びます。生理にかかわる症状の改善に適した低用量のホルモン薬(エストロゲン、プロゲステロン配合)です。
いくつか種類がありそれぞれに服用方法やホルモンの種類・配合量に違いがあります。症状やご希望を考慮して処方します。
OC(保険適用外のピル):
避妊目的として服用するピルをOC(Oral Contraceptive)とよびます。避妊効果が認められる薬剤として承認を受けていますが、避妊効果は100%ではありません。飲み忘れを含め一般的な使用における失敗率は9%と報告されています。
当院では処方可能なOCには以下の種類があります。
アンジュ28(1シート28日分) 2800円
ファボワール28(1シート28日分) 2800円
ただし、以下の項目に該当する方は服用できませんのでご注意ください。
- 乳がん、子宮がんの疑いのある方
- 原因不明の性器出血のある方
- 血栓症の既往、または疑いのある方
- 35歳以上で1日15本以上の喫煙をされる方
- コレステロール値、中性脂肪値、血圧に異常のある方
- 妊婦、授乳中の方
副作用について
OC・LEPの服用を開始した初めの数日〜3ヶ月の間には吐気・嘔吐・頭痛・不正出血・腹痛などがおこることがあります。 これらはほとんどの場合、軽度で自然におさまりますので、あまり心配はいりません。 辛い時には、継続できるかどうかを判断する必要があるため連絡いただくか受診の上ご相談ください。
重篤な副作用【血栓症】
血栓症の発症頻度は大変低く、ごく稀な副作用です。現在服用中の方がすべて危険なわけではありませんが、ご心配な時はご相談くださるようお願いいたします。
血栓症が疑われる症状
- 下肢の急激な疼痛・浮腫
- 突然の息切れ、胸痛
- 激しい頭痛、四肢の脱力・麻痺・構語障害
- 急性視力障害 等
このような症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、ご連絡をいただくか、救急医療機関を受診してください。その際は、OC・LEPを服用していることを申し出てください。
当院では合併症の発症を予防する目的で服用前、服用中には必ず定期的に問診、がん検診、血液検査(年1回)などを行っています。また、処方時に毎回問診を行っています。検査を希望されない場合には処方することができませんのでご了承ください。
院長:松本由紀子(日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医・日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医・日本生殖医学会認定 生殖医療専門医)